D.O.G's blog

弱い犬ほどよく吠える説

「販売力」はオワコン。これからは「信用力」です。

どうもこんにちはリョウマツモトです。

今年もあと少しですね。早い。もう2017年が終わってしまう。焦る。

今年は色々あったなあ〜なんて話はまだ早いですね。年末まで取っておきましょう。

 

さて突然ですが、みなさん「販売力」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?何かしらの販売員をしたことがある方だったら一度はあるはずです。まあ読んで字の如くなのですが、何かを販売する「力」のことですね。

ファッション業界に未だに蔓延るこの言葉。

今回はこの「販売力」という言葉がもう終わってね?という話をしようと思います。

 接客神話

ファッション業界、特にリテールの業界には最終的に接客でなんとかなるみたいな風潮が未だにあります。つまり、とにかくゴマを擦り擦り千回位擦って、お客さんを上機嫌にして、口八丁の二枚舌でとにかく喋り倒して買ってもらうみたいな、大げさにいうとこんな感じです。そう、未だにこんなことが通用すると思われているんですよ。接客をなんとかすればなんでも売れる。みたいな。接客テクニックを身につけろ。みたいな。

でもこの接客神話がとっくに崩れていることは僕のブログを少しでも読んでくださった方はお分かりのはず。そうです、キーワードは情報量です。

情報量が少なかった時代は確かに接客は効いたかもしれません。お客さんに選択肢がないですからね。醤油ラーメンしか知らなかったら、醤油ラーメンをありがたがって食べるのと同じです。でも塩ラーメンや味噌ラーメンを知ったら、今まで「醤油が一番!」と思ってた人だって好みが変わるかもしれないじゃないですか。じゃあ醤油・塩・みそを食べ比べて、「俺は塩が一番だ!」と思っている人に対していくら「ラーメンといっったら醤油でしょ!」と醤油の魅力を語っても「いやいやうるせーよ。ほっとけ!」となりませんか?簡単にいうとこういうことです。

あと従来型の接客ってCMと同じだと僕は思ってるんですよ。つまりその商品のいいところをとにかく一方的にアピールするわけじゃないですか。「買った方がいいですよ〜」って。

でも現代において、CMがきっかけでモノを買う人がどれだけいますか?CMを見て「これ欲しい!」と思うことがどれだけありますか?ほぼないでしょう。

もうどの企業もCM打っときゃオーケーみたいなスタンスでは生き残れないんですよ。CMでいくら「驚きの白さ!」とか言ってても同級生がツイッターで「あの洗剤全然汚れ落ちねーぞ」とつぶやいていたら即アウト。同級生の意見の方が圧倒的に影響力があるわけです。いわゆるクチコミです。

ここにも接客神話の崩壊が見受けられますね。しかしそれと同時に新たな兆候も見受けられます。

なぜクチコミが強いか

先ほどの例で挙げたように、現代においてはクチコミの力が非常に強い。皆さんもそうじゃないですか?何かを買うときは徹底的にその商品を調べませんか?レビューを読み漁りませんか?

企業のCMとクチコミの違いは何か?ここがこの話の核心ですね。まあタイトルでネタバレしてますが。

それはズバリ「信用」です。これです。

だから簡単に言ってしまえば、消費者にとって企業のCMよりもクチコミの方が信用があるわけです。なぜか?

それは、企業に対して「あんたら物を売りたくて仕方ないんだろ?だから都合のいいことしか言わないんだろ?」というある種の疑いが人々の心の中にあるからだと思うんですよ。モノが溢れた時代における人々の財布の紐はちょー固い。そりゃそうですよね。モノに困っていないんですから。非常に吟味するわけです。そういう状況下で信用され得るのは、なんの利害関係もない第三者の意見です。これがクチコミですね。

(余談ですが、これを利用しようとするのがステルスマーケティング、いわゆるステマです。)

おわかりいただけたでしょうか?まあこの辺りの話はその辺の本屋に 平積みされている本に書かれているような知識なので僕が偉そうに語っても仕方ない。

ここからが本題です。ではそれをどのように服屋に置き換えるか?という話ですね。

信用を売る

接客神話が崩れた今、販売員はどうすればいいのか?お客さんが勝手にレジまで商品を持ってきてくれるのを待っていればいいのか?無駄と頭ではわかっていながら接客神話を信じ続けるしかないのか、、、?

なんて挙げたらキリがないほど悲観的な意見はたくさん出てきますが、僕はそんな悲観的ではなく、むしろ楽観的です。もう本当にどうしようもない、八方塞がりみたいな状況ではないと思っております。六方くらい塞がってるけど笑

じゃあどのように現状を打破するのか、僕の意見を述べます。

結論から申し上げますと、服ではなく「信用」を売るということです。先日書いたこちらの記事にも通じる内容ですのでよければ合わせてどうぞ。

ryozenshu.hatenablog.com

まあ服というモノではなく信用というコトを売れという話です。このままだと非常に抽象的なのでもう少し噛み砕いてお話するために例を一つ挙げます。

例えば、季節の変わり目で最近少し寒くなってきたな〜と感じたあなたが「パーカーとかスウェット系欲しいなあ」と何回か行ったことがあるセレクトショップに行ったとしましょう。

店員「いらっしゃいませ!」

あなた「すみません、パーカーとかスウェットないですか?最近少し寒くなってきたので」

店員「ございますよ!(お、買う気はありそうだ!

なんか好きなブランドとか、色とかありますか?(ちょっと絞り込みかけてみるか、、、)」

あなた「う〜ん、あんまりこだわりとかなくて、、、いつも気に入った物を買う感じです」

店員「かしこまりました!(ラッキー♪そんなにこだわり無さそうだし、こっちが消化しときたいものゴリ押ししよ

こちらとかいかがですか?(これ入荷してきてからまだ一枚も売れてねーんだよな。ここで消しときたい)」

あなた「でもちょっと色が派手じゃないですか?こんな色の着たことないですよ」

店員「あ、そうなんですか!でもこちらのお色が今期トレンドなんですよ!

あんまファッション詳しく無さそうだしこれくらいはバレないバレない

一回ご試着どうですか?着るだけタダですよ〜(着せちゃえばなんとかなるかもな!)」

あなた「う〜ん、まあそうですね。ちょっと着るだけ着てみます」

店員「うわ〜すごいお似合いです!!サイズもバッチリ。この色だったらあまり人と被ることもなくていいですよ!かっこいい!(とにかくゴマをすれ、すれ、すれーーー!!)」

あなた「そ、そうですかね(えーこれ大丈夫か?着れるかこんな色?)」

店員「そうですよ!こういうの一枚あるとコーディネートの幅も広がりますし!(あともうひと押しだな)」

あなた「確かに、、、(言われてみればその通りかもしれない。あれば着るよな。トレンドの色だって言うし。それに今更断るのもなんか申し訳ないな、、、)」

あなた「じゃあ、、、買います(言ってしまった!まあいいか。なんかよく見えてきたし。トレンドだし。)」

店員「ありがとうございます!!(よっしゃあ!)」

 

こうして店員の口車に乗せられてサンタクロースのような真紅のスウェットを買ってしまったあなた。後日、ファッション通の友人と会うことになったのでここぞとばかりそのスウェットを着て行くと、、、

友人「お前どうした?正月もクリスマスもまだ先だぞ」

あなた「いやこれはこの間〜〜って店で買ったんだよ。これ今期のトレンドカラーなんだろ?」

友人「いや、まあトレンドカラーかもしれないけど差し色として小物とか靴とかにちょっと取り入れる感じだぞ。インスタとか見てみろよ。こんな前面にだす感じじゃねーよ。」

あなた「あのやろう〜〜〜〜!」

 

と、少し大げさにコミカルに書きましたが、なんかあるあるな感じがしませんか。笑

もしこのような目に遭ったらあなたはもうそのお店には行かないでしょうし、その店員から何かを買うということもないでしょう。

この例で確かに店員は「接客で服を売る」ことに成功しました。いわゆる販売力はあるのかもしれません。しかしながらそのたった一枚のスウェットの売上をはるかに凌ぐ「信用」を失いました。服は売ったが、信用は失ったわけですね。

もう一度言いますが、これはあくまで極端な例です。ただこれと同じようなことはどのお店でも行われていると思いますよ。厳しい状況だから「とにかく売上第一!」となるのも頷けるっちゃあ頷ける。でもシンプルに考えて、こんなことしていたら売れなくなってくるに決まってますよね。実際売れなくなってきてるわけですし。

もう目先の売上に拘って従来型の上辺だけの接客をしていると未来はありません。売上よりも信用の優先順位の方が高いです。信用がある人の方が、結果的に見て・長期的に見て売上を上げられるでしょう。

では上の例の場合、店員はどのように接客すればよかったのか?答えはシンプルです。

ウソをつかない。相手のことを思って接する」 これです。この人間として、人付き合いをする上でもっとも基本的なことを実行するだけです。

だから時にはこちらにとってマイナスなことも言うべきなのです。似合っていなかったらはっきりそう言う。良いと思っていないものは勧めない。かっこいいと思わないのにかっこいいと言わない。ネガティブなことを言うなんて接客販売においてはタブーとされてきたことですね。

 このようなスタンスで接客をしていたら、もしかしたら売上が取れない日も出てくるでしょう。でも最初のうちはそれで良いと思います。服は売れなくても信用を売っていれば、売上は後からついてきます。

それでは信用が稼げた人・お店にはどのようなことが起こるのか?

これもカンタンで、〜を買いたい」というよりも「〜で買いたい」「〜さんから買いたい」という消費動機の変化が起こります。過去のお買い物体験がその人の中で蓄積されて、信用に繋がっているんですね。「あの人が言うならこれは良いものなんだろう!」というわけです。何を買うかよりもどこで誰から買うかに焦点が向いている。もうこの時点でお客さんはモノではなく、コトを買いに来てくれるような状況ができているというわけですね。この状況を作れないと勝てません。

ではどうやってこれを実現するかですが、先ほども書いた通り「ウソをつかない」というのは大前提として徹底しなければならないことです。

でも「よし!もう上辺だけの接客はしない!嘘はつかないぞ!」と意気込んでもなかなかこれを継続していくのは難しいものです。もし売上がちょーやばい状況で嘘の一つでもつけば買ってくれそうなお客さんが来たら絶対嘘ついちゃいますもん。人間だもの。

だから着手すべきは「環境づくり」からです。嘘をつかなくて済むような環境を作る

つまりシンプルに本当に自分が良いと思っているもの、好きなもの、自信を持って勧めることができるもの以外を店に置かないことですね。これを徹底すれば嘘なんかつく必要ないですし、嘘のつきようがありません。

もう売上を取るための手段として接客をしていたらダメです。良いものをお客様に紹介したい・知ってもらいたいという目的の下接客しないと買ってもらえません。つまりこちら側の利益のために動いていたらそれはお客様に見抜かれてしまう。満足してもらえない。相手の立場に立って動かないと死にます。まさに先義後利の時代です。

 

以上からお分りいただけるように、これからの時代は販売だけを担当するいわゆる「販売員」は淘汰されていくと思います。お店にある商品を捌くだけの人は厳しい状況に追いやられると思います。なぜなら買い付けから入り込まないと、自分の意思を反映させたセレクトができないじゃないですか。販売員兼バイヤーでないと信用を生んでいくのは難しいかもしれないですね。

 

とまあ僕の意見は以上です。いや〜長くなってしまった。ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。

販売力から信用力の時代へ移り変わりつつあるのがお分りいただけましたでしょうか。

でも現場にいると本当に痛いほどこの変化を感じます。もう今までと同じやり方ではお客様の支持は得られません。ここで考え方・やり方をシフトできた人・お店は残るかもしれませんが、変えられないと滅ぶしかないと思いますね。今後大きな差を生むことでしょう。

かく言う僕も今嘘をつかなくて済む環境作りに着手しております。

もう嘘はつかないぞ!

 

ではまた。