パワーショルダーで風を切って歩こう
どうもこんにちはリョウマツモトです。
「肩で風を切る」この気分はなんとも形容しがたいものだ。背筋を伸ばして勇み足で、生意気ながらも、内心は周囲の視線をチラチラ。いつから僕たちは「風を切る」どころか向かい風に「切られる」ような歩き方しかできなくなってしまったのか。時代のせいか。年齢のせいか。いや違う。切ろうと思えば今すぐに切れる。そう、全ては自分次第だ。あの頃を思い出して、怖いもの知らずだったあの頃を思い出して、今こそ肩で風を切って歩こう。そうするとほら、街中のあちこちで同じように肩に風をきって歩いている人が目に入ってくるはずだ。
・・・・・なんだこのポエム笑
「切ろうと思えば今すぐに切れる」て笑
ポエマーマツモトを憑依させてそれっぽいポエムを書いてみましたが、それなりになるものですねえ。どこかのフリーペーパーの編集後記にでもありそうな文です。
まあここまでは余談です。余りまくった余談です。
今日書こうかなと思うのは次に来そうなトレンドについてです。
みなさん、「パワーショルダー」という言葉をご存知でしょうか?まあ平たくいうと肩パッドのことですね。
はい、次来るのは「肩パッド」です。肩が張ったようなオーバーサイズなジャケットが流行ります。ほぼ間違いないでしょう。
「え、肩パッド?」と思ったあなた、アンテナがまだまだです。もっと張ってください。
今回はこの肩パッドトレンドを例にして、近年のトレンドの発生の仕方もついでに書いていこうかなと思います。またまた長くなりそうだ、、、よければお付き合いください。暇な人は特に。
トレンドセンターの移り変わり
まずトレンドの発生の仕方についてさらっと説明したいのですが、この発生の仕方も今と昔では違いまして、その辺りの移り変わりからさらっと話そうと思います。さらっと。
昔は完全なトップダウン型でトレンドが作られていました。
つまり、デザイナーであったり、ブランド側が「次はこれを流行らそう」と意図的に流行をコントロールしていました。トレンドカラーが話し合いで決められるという話を聞いたことがあるかともいらっしゃるのでは?まあそういうことです。それができてしまっていたのですね。なぜか?
「情報量」これです。消費者に十分な情報も、情報取得の手段もなかった時代は人々・トレンドをコントロールすることは比較的カンタンでした。
ところが今はインターネットの登場で誰でもあらゆる情報がすぐに手に入るようになり、SNSの登場で情報のインプットだけでなくアウトプットも可能になりました。誰もが発信側に回れる時代になったわけです。スマートフォンの普及がそこに拍車をかけて、いつでもどこでも誰でもこれができるようになったんですね。
当然トレンドの発生の仕方も変わりまして、昔のトップダウン型からボトムアップ型に移行してきています。つまりトレンドセンターがデザイナー・ブランド側から消費者に移り変わりつつあるのです。
トレンドは上から押さえつけられ、それに従うしかない。みたいな状況は終わりを告げたんです。だから近年、「トレンドのタネはストリートにある」みたいな言葉をよく聞くようになりました。皆さんも一度は聞いたことがあるのではないですか?
つまり、今リアルなストリートで人々が着ているような服・スタイルがデザイナーのクリエイションに影響を及ぼし始めているんですね。デザイナー・ブランドの姿勢が「これが流行だからこれ着とけ!」から「君たち今こんな格好しているけど、その延長でこんなのいかが?」というように変わってきたのです。(まあギャルソンみたいな自分たちの価値観が一貫しているブランドももちろんあります。)どんなデザインでも、ストリートで受け入れられなかったら流行にならなくなってきているんですよ。
じゃあトレンドセンターはどこなのか?誰なのか?というと、「消費者です!」
、、、、と言いたいところですが、実は少し違うと思っていて、ここがややこしいのですが、説明するので少し待ってください。あくまで僕の意見ですが。
結論から言いますと、今のトレンドセンターはズバリ「デムナ・ヴァザリア」です。
彼こそが今の時代のトレンドセンターだと思います。知っている方も多いかと思いますが、ヴェトモンとバレンシアガのデザイナーですね。正直今のファッション業界のトレンドは彼が作り出しているといっても過言ではないと思います。
「、、、、結局デザイナーじゃねえか!!」という声を抑えて、もう少しご辛抱ください!ちゃんと説明します。
彼がなぜトレンドセンターになり得たのかというと、彼はストリートの声を聞き取り、編集し、服に落とし込むのが非常に上手だからなのです。つまり先述の、「君たち今こんな格好しているけど、その延長でこんなのいかが?」という提案が上手なんですよ。
そしてそうやってデムナ・ヴァザリアが作ったスタイルがストリートに受け入れられて、そこで生まれた流れにその他多くのブランドがフォローしていき、トレンドという業界を巻き込んだ大きなストリームになるという構造です。
確かにデザイナーがトレンドセンターなのだけれど、一方的なトップダウンではないですよね?あくまでリアルなストリートが起点です。
具体的な例でいうと、2016年あたりから本格的に流行り出した「ビッグシルエット」ですが、これも彼がヴェトモンで流行らせたものだと思っております。
最近、どこのブランドの服も大きくなったと思いませんか?ユニクロでさえビッグT作ってましたからね。
このシーズンですでにビッグシルエットを打ち出していますね。これを発表したのが2015年の夏ぐらいだとすると、約一年後にトレンドが出来上がっています。
ヴェトモンやバレンシアガのコレクションを見返してみると面白いですよ。最近流行ったデザイン・モチーフがそこら中にあります。
例えば皆さん、ちょっと前にイケアのTシャツとかバッグとか、とにかくイケアのロゴが入ったアイテムよく目にしませんでしたか?インスタとかで。
あれも実は元々は彼が仕掛けたんですよ。そもそもイケアみたいな企業ロゴをファッションのデザインに落とし込んだのが始まりで、「DHL」のTシャツなんか代表的ですね。ヴェトモンで出してたかな。そしてその後にイケアのショッピングバッグにデザインがそっくりのバッグを作ったんですね。バレンシアガで。これです。
あとは、袖にプリントが入ったロンTなんかも彼が流行らせたものですね。
うーん。さすがです。すごい。
彼はクリエイターとしての才能も素晴らしいのですが、それと同じくらいマーケターとしての才能もあると思うんです。常にストリート(マーケット)の半歩先を提案し続けているわけですから。
でも振り返れば時代を作り上げたファッションデザイナーはこういった側面があるなあと思いますね。例えばココシャネルもその一人ですね。女性がコルセットでウエストを絞りまくっていた時代に、その女性たちの内なる声をうまく汲み取って機能性・着心地に優れたジャージー素材を使ったスーツを作って女性を解放しました。
少し話はずれましたが、今のトレンド醸成の仕組みはおわかりいただけましたかね?
それでは話は戻って、パワーショルダーのトレンドが来る予測もこの理屈で説明できます。デムナヴァザリアは16fwあたりからこのパワーショルダーをその後数シーズンにわたって提案しております。
そして17fwから18ssにかけて他のブランドもこのパワーショルダーの流れをフォローし始めているんですね。わかりやすい例を下に貼り付けておきます。
どうでしょうか?結構パワーショルダーが前に出ている感じしませんか?
デムナヴァザリアが提案したスタイルが他ブランドに波及し始めたら、ほぼトレンド発生で間違い無いと思います。そういう意味では現在のトレンド予測はカンタンですね。
答え合わせのようなものです。
こういうわけでパワーショルダーは流行ります!僕はそう読んでいます。実際僕も着たくてウズウズしてます。笑
いや〜〜、予想通り長くなっちゃいました。 大変ですね文章で書きあげるのも。もう肩で風を切る前に、肩で息をするくらい疲れちゃいました。
うまい!座布団一枚。お後がよろしいところで、
ではまた。