D.O.G's blog

弱い犬ほどよく吠える説

ファッション小売の病

どうもこんにちはリョウマツモトです。

 私事ながら季節の変わり目で少し風邪を引いてしまいました。

この時期は体温調節が難しいんですよね〜。昼間陽が出ているときは暖かいのに、日が暮れると急に寒くなる。

ファッション業界にいながら、その辺の服の着方は下手くそです。

 

(※以下ファッション業界=セレクトショップ小売業態とします)

 

さて本題ですが、いきなりヘビーですが、長くなりそうですが、偉そうですが、

この業界にはびこる病について話そうと思います。

もう正直ひどい病なんですよこれが。

どんな病かと言うと、結論から言うと、バッサリ切ると、

過去の成功体験にしがみついた商売をしている」 これですね。

(会社の方が見てたらどうしよーーーー、 まあいっか笑)

いつまでそんなこと言ってんの?それいつの時代?

と突っ込みたくなるような考え方で商売している人が多すぎる。

洋服がバカみたいに売れた時代の考えのままの人が多すぎる。

そりゃ業界もダメになりますわ。服も売れなくなりますわ。

そう思わずにはいられないことが多々あります。

 

従来の商売

では手始めにさらっと、従来のファッション業界の商売を説明します。

従来は、特に洋服バブルの時代(1980年代〜2000年くらいまで)は、そもそも人々の消費の選択肢が限られており、なおかつ人々がモノを欲していたわけです。

とにかく物欲に駆られた人々が「消費=美徳・満足」といった価値観で服を買っていたわけですよ。

まさに高級ブランドに身を包み、高級車を乗り回すのが人々の憧れだった時代です。

そして現在のようにインターネットも普及しておらず、情報がほとんどない。

だからファッション業界においては、雑誌が強力なメディアであり、それと同じ位「販売員」もメディアとして強い影響力を持っていたんですね。

販売員が「これが今流行ってますよ!」といえば人々はそれを信じるしかなかったわけです。だって真偽を確かめる情報源がほとんどないんだもん。

そりゃかっこいいショップ店員がそう言ったら信じちゃうよね。特に地方はこの傾向が顕著でした。

つまりファッション業界には当時、追い風しかなかったんですね。

”人々がモノ(服)を欲しがっている+情報がない+販売チャネルが実店舗のみ”

売れて当たり前。売れない方がおかしい。まさにバブル。

 

そもそもお店に来る人は服が欲しくてたまらない状態で、しかもこちらが「これ!」と言ったものを信じて買ってくれるんですからね。いい時代です。

おそらく全国のセレクトショップのオーナーさんたちのほとんどはこの時代にファッションビジネスで成功した方が多いんじゃないかと思います。

ではこの時代にもっとも適した商売のやり方ってどんなものだと思いますか?

答えはカンタン、「ヒット作を作ってヒットさせる、ヒット作先導型商売」

これに尽きます。

どういうことかと言うと、そもそも先述したような社会ですから、ヒット作を作るのってそんなに難しくなかったんですよ。

ちょっとメディアを操作して、ちょっとキムタクにでも着てもらえば、そして売り場で販売員が後押しすれば、ドカンです。(極端な例ですけどね)

そしてそのヒット作を大量に捌く。なんと捌けてしまう。ヒット作の完成です。

(話逸れますけど、ハリウッド映画なんてまさにこれですよ。

豪華キャスト陣を用意して、派手なアクションぶちかまして、最後は必ずハッピーエンド。このパッケージをこすり回して、今はダメになっちゃったけど。似てますね。)

じゃあなんでそもそもヒット作なんか作る必要あんのか?って話ですけど、

これまた理由はカンタン。店舗には物理的な制約があるからです。

つまり物理的にモノをおけるスペースが限られているなら、できる限り売れるものにスペースを割いた方が効率いいじゃん!て話です。当たり前ですね。

この商売のやり方は何も服に限った話ではありません。CD、DVD、本、なんでもそうでした。

こうしてファッション業界は全盛期を迎えたわけです。

ではこの後どうなったのかといえば、みなさんお察し、、、

 

バブルが弾けた

まあ正確には弾けたと言うよりも、どんどん萎んでいったと言うほうが正しいですかね。2000年過ぎたぐらいからでしょうか。

こうなった理由は二つあると思っていて、

一つは人々の物欲にブレーキがかかり始めたこと。

人々が「もうこれ以上服いらねーかもなー」と思い始めたんですよ。

クローゼットはいっぱい、ブランドものを追いかけるのも少し疲れてきちゃったかも、といった感じです。少しづつこういったムードが拡がっていったわけです。

もう一つがインターネットの普及ですね。これがデカかった。マジで。思った以上に。

まあいろんな社会的背景もあって(ネット回線の低価格化など)、急速に人々の間にパソコン・インターネットが普及し始めるわけです。

文字通り社会が変わったんです。(偉そうに言うことではない)

まあここからの流れはみなさんだいたい想像できると思いますが、一応説明しますと、

人々がアクセスできる情報量が莫大に増えたんですね。ヤフーで検索すればすぐに情報が手に入るわけです。そして世界中の人々と繋がることができる。

そしてECが登場して、インターネットを通じてモノを買うことができるようになったんですね〜。こりゃ便利だ。家にいながらなんでも買えるんだから。

おまけにインターネット上には物理的な制約がない!無理にヒット作を作らなくても、人々が商品にたどり着ける仕組みがきちんとあれば購入に繋がるわけです。ロングテール市場の出来上がりですね。

ここで人々の消費スタイルが変わるわけです。店に行かなくてもポチッとすれば買い物ができる。今までとは比べ物にならないほど多くの情報が手に入り、人々の好みが多様化し、なおかつその好みに合ったモノを探せる環境になったんですね。まあ例外なく「ファッション」もその影響を受けました。

 

ZOZO事変

そんななか、ファッション業界に革命を起こし、今尚続くストリームを作り上げたサービスが誕生しました。ZOZOタウンです。

ファッション業界では”ZOZO事変”と言われています。(嘘です)

このZOZO事変(2005年くらいかな)を境にファッションビジネスが大きく様変わりしました。ゾゾの功績は「ネットで服を買うことのハードルを限りなく低くした」という点だと思ってます。

今やEC流通額の中でファッションの分野が一番大きいですからね。すごい。

僕も当時高校生で、お小遣いを貯めてはゾゾで長野には売ってないような服を買っていた思い出があります。う〜ん懐かしい。

それは余談として、ファッション業界の人々は大慌てですよ。

ゾゾに自分たちの取り分がかっさらわれてしまうわけですからね。死活問題です。

当時はゾゾに猛反発していたそうですよ。ブランド側に「ゾゾに出店するな!」と言ったりしていたみたいです。まさに現代のラッダイト運動。

しかしそんな抵抗も虚しく、時代はゾゾを選んだわけです。

ゾゾの市場規模が大きくなるにつれ、より多くのブランドが参加し、さらに市場規模が増える、、、倍々ゲームです。

ゾゾにお客さんを取られて大ダメージのファッション業界に、次なる試練が襲い掛かります。

 

ファストファッション襲来

泣きっ面に蜂とはまさにこのことですね。

2008年頃からファストファッションに火がついて、一躍市場に踊り出ます。H&MZARAなどが日本に進出してきたのもこの時期です。ユニクロも躍進していました。

ファッションに価格破壊が起きたわけです。

人々が服の値段を想像するときの、その金額をアホみたいに下げたわけです。

しかもユニクロなんかちょー品質高いもの作ってますしね。安いのに。

もうお分かりの通り、この時点で業界を取り巻く社会の状況が変わったわけですよ。

つまりゲームのルールが変わったんですね。

”人々がモノ(服)を欲しがっている+情報がない+販売チャネルが実店舗のみ”

から

人々がモノ(服)を欲しがっていない+情報が溢れかえっている+販売チャネルの多様化

という大パラダイムシフトが起きたわけです。

 

にも関わらず、にも関わらずです。

 

商売のやり方・考え方の本筋は当時とほとんど変わっていないわけです。ほとんど。

そりゃ売れるわけがないです。

当時のやり方は、当時だからこそ、時代の追い風があったからこそうまく機能していたのです。ましてや今は追い風どころか、逆風が吹き荒れてるわけです。

もちろん、時代に少しは適応してオンラインストアを”やっている”お店もたくさんあります。ただあくまで”やっている”程度。そこに本腰を入れて向き合い、注力していないんですよ。(もちろんしっかりやってらっしゃるお店もあります)

 

なぜか?

それは全盛期の成功体験をまだ捨てることができていないんです。業界の多くの人々が。

時代が変わったこと、人々の価値観が変わったこと、それらの変化に適応することを妨げているのは、過去の栄光です。昔うまくいったことが逆に仇となっているんですね。

そして若い世代が入ってきても、「こういうものだ」と従来のやり方をルールとして課すわけです。なぜなら「今までこのやり方でやってきた」から。変化を認めたくないから。変化に伴う痛みを味わいたくないから。

結構な病ですよこれは。そう思いませんか?

 

とまあ、よりによって最初の記事をこの重いテーマにしたのには理由があってですね、

 

僕はこの病をなんとかできると信じているんですよ。

やれることはまだまだあるはずなんです。まだ終わっちゃいないんですよ。このまま泥の船で必死にオールを漕ぎ続ける以外の選択肢があると思ってるんですよ。

そしてそのために日々仕事しているといっても過言ではありません。

 

だからまずは自分のお店が、自分の会社が、長野の田舎で成果を出せるモデルとなれたなら、全国のお店にもそれを示すことができると思っているんです。

まず最初にこのテーマを記事にすることで、僕がどういう問題意識を持っているかを共有したいと考えました。そしてそれを応援してくださる方、ご意見くださる方が集まるようなブログになれば最高じゃん!と思っております。

 

僕なんてまだまだ未熟者ですから、ご意見やアドバイスやご指摘などなんでもウェルカムです。大歓迎。

 

とまあこんな感じで一発目の僕が風邪を引いた話は終わりにしようかなと思います。

ではまた。